2016年9月18日

施川ユウキの『鬱ごはん』は、昨今の萌え萌えお食事マンガの流行と比較して読まれるべきだ。就活浪人している主人公が、もの思いにふけりながら飯を食うだけのマンガなのだが、食べている料理が大変つまらない。ミスタードーナツやらハンバーガー、回転寿司などのファーストフードがメインで、可愛い女の子が手の込んだ料理を幸せそうに食べる作品の対極にある。

店舗で飯を食うときは、他人にどう見られているかをぐだぐだと悩み続ける有様だし、一人で飯を食うときは、自らのうだつの上がらなさを美味くも不味くもない食品に重ねあわせて鬱になる主人公の心情吐露が続く。延々と続く、食事の作業感をこれでもかと言わんばかりに強調しているのは、もはや痛快さすら感じる。

一番印象的なのは、食事にまつわるグロテスクな面を不快なまでに細かく描写している点だ。例えば、主人公のおじさんがものを咀嚼するコマや、串かつのつけダレに虫の死骸や卵が沈んでいる妄想をしてしまうコマ、真夏のシンクにコバエが集まるコマなどなど。ふと日常生活で気になったり想像してしまったりする、食事中のグロテスクさを上手く描いている。日常的なルーティーンに時折首をもたげる、ネガティブな出来事。そこからドツボにはまっていく様は、まるで自分の生活をみているようだった。